日本人が感じにくいネイティブが距離をとりたい時に使うフレーズとは?
前回はDo you like~?と好みを聞かれたときにYes I do / No I don'tと返事するのはていねいすぎる感じがすることがある、というお話をしました。(前回の記事)
今回はそのていねいな表現を使って、あえて相手との距離感をだすことがある、というお話をします。
納豆が大好きなImai(今井)は、Endo(遠藤)に何かしつこく聞いています。
Imai: Do you like natto?
Endo:No
Imai:Doooo yooooou liiiiike nattooooo?
Endo:No, I don’t!
今井は遠藤をいらつかせるためだけに、1回聞けば分かることをわざと2回も聞いています。男同士の会話によくあるやりとりですね。
そこで遠藤は「しつこいぞ」というニュアンスをこめて、2回目は最初の「No」というシンプルな返事ではなく「No, I don’t」という長い言い回しで返事をしています。
これは、距離感がある表現を使って「しつこいぞ、さっき嫌いだって言っただろう」というニュアンスをだしているのです。丁寧さを表しているのではないわけです。このように、長い言い回しは状況によって全く異なった意味を持ちます。
では、これが騒がしい居酒屋で今井が遠藤の返事を聞き取れなかった、という状況での会話だったらどうでしょう。
(騒がしい居酒屋の中での会話)
Imai: Do you like natto?
Endo:No
Imai:Doooo yooooou liiiiike nattooooo?
Endo:No, I don’t!
この時の遠藤のNo, I don’tから「しつこいぞお前」というニュアンスは感じられますか?また違う感じですね。遠藤は、今井が同じことを2回も言ったのは、周りがうるさくて最初のNo が聞き取れなかったのだと察知しています。そこでよく聞こえるように、長めにNo, I don’t!と返事をしたのです。たぶん声もさっきより少し大きかったでしょう。
このように意図的に長い言い回しを使うということで、さまざまなニュアンスを出すことは日本語でもよくあります。だから、そういう感覚がネイティブにもあることはよく理解していただけると思います。
前回お話ししたように、言い回しが短ければ失礼な表現になることがあります。また今回のお話のように、長い言い回しがていねいを通り越して嫌味な表現になることもあります。
英語と日本語はまったく違う言語ですが、同じ「人間」が話す言葉ですので、案外感覚的に共通している点があります。しかし、机の上で英会話を勉強していると忘れてしまいやすい部分でもあります。
そのつもりで意識していると、ニュアンスという大切な感覚がわかるようになりますし、たとえ初めての状況でも失礼なもの言いをする可能性もぐっと減ります。
「英会話イメージリンク習得法」執筆アシスタント 今井